My Redmineとはオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェア「Redmine」をクラウド上でご利用できるサービスです。
株式会社ノーリツ様のご利用事例を紹介します。
My Redmine導入により仕様決定のプロセスも逃さず記録
埋もれていた情報を掘り起こし品質向上と開発の効率化に成功
株式会社ノーリツ 研究開発本部 水川洸一様
創業から約70年、給湯機器のリーディングカンパニーとして業界を牽引してきた株式会社ノーリツ様。
給湯機器をはじめとする住宅設備にもIoTの導入など従来以上に高度で複雑な技術要件が求められているなか、商品開発のプロジェクトにおいてMy Redmineが果たした役割と導入後の成果について、同社研究開発本部の水川洸一様に話をお伺いしました。
おそらく同様に管理されている企業も多いと思うのですが、弊社では業務管理にはExcelを用いていました。ただ、Excelは多くの社員が通常業務で使い慣れているため抵抗なく利用できるメリットがある一方、最新バージョン、差分、作成者の把握が難しいという課題がありました。
製品開発においては、仕様決定に至るまでは多くの議論があり、そのプロセスにこそ価値のある情報が眠っています。しかし、Excelでは仕様決定までのプロセスまでを記録することは難しく、当事者以外は断片的にしか情報を把握できていませんでした。また、仕様検討の段階から社内に対して情報をオープンにすることができればより多くの技術者のチェックを経て仕様決定することが可能となり、修正回数の減少による効率化、品質の向上が期待できます。
給湯機器はもとよりメカニカルやエレクトロニクスなど様々な技術が集約された複雑な製品のため関わる人が多く、プロジェクト管理の重要性は大きいです。さらに長年の運用によりExcelファイルの管理負担も増加しつつあり、業務管理の仕組みを刷新する必要性を感じていました。これらの課題を解決する選択肢として浮上してきたのがRedmineでした。
株式会社ノーリツ 研究開発本部 水川洸一様
Redmineではチケットによって課題を細分化し、課題ごとにコメントを残すことができるので、仕様決定のプロセスを記録することに適していました。プロジェクト完了後に報告書に成果などをまとめるのですが、プロセスごとの細かい議論や意見、判断に迷った箇所や失敗などいわゆる「隙間の情報」はどうしても拾いきれません。Redmineならそのような「隙間の情報」も埋められると思いました。実は弊社のソフトウェア部門ではすでに7年ほど前からオンプレミスのRedmineを採用していたため、以前からその利便性は認識しており、研究開発部門にも2年前からオンプレミスのRedmineを導入しました。
Redmineを選んだ理由は導入の容易さにあります。現場主導で導入を検討していたため予算の面で大きな初期投資は難しい状況でしたが、Redmineは無償かつオープンソースなので気軽に試用でき、すでに世界中に多くのユーザーがいるので情報収集が容易という点も魅力的でしたね。
クラウド移行時はMy Redmine以外のサービスも検討しましたが、ユーザー単位の料金体系が要件と合致しませんでした。いっぽうMy Redmineは月額8,000円で1000ユーザーまで利用可能というコストパフォーマンスが決め手となり導入に至りました。
業務管理システムの継続性は常に意識していました。オンプレミスのRedmineから導入したのですが最終的にクラウドの運用にすることは最初から念頭に置いていましたね。私を含め開発部門の本来の業務は製品開発です。そのため部門としてサーバーの保守などの管理業務に大きなリソースを割くことはできません。クラウドであれば保守管理の業務負担が軽減され、私が担当を離れた後も継続的にシステム運用ができると考えました。
またソースコードなどの情報が公開されていないプロプライエタリーなシステムはベンダーがサービスを停止した場合に立ち行かなくなるリスクがあります。プロジェクト進行中にサービスが終了してデータにアクセスできなくなるといった可能性や長年積み上げたノウハウにアクセスできなくなるような状況は極力排除しなければなりません。オープンソースソフトウェアを使用しているMy Redmineであれば、万が一サービスが終了した場合もバックアップデータを利用して社内で運用できるため、リスクヘッジの面からも社内の理解をスムーズに得られました。
My Redmineへの移行時もファーエンドテクノロジーが無料で提供してくれるデータ移行サービスを利用したことでスムーズに進行しました。オンプレミスのRedmine利用時からクラウド移行への障壁とならないようにMy Redmineに導入されているプラグインのみ利用していたこともありMy Redmine移行後も違和感なく運用できています。
導入時の目的の通りプロセスの明確化、オープン化につながりました。プロセスの振り返りが可能になったことでプロジェクト完了後の確認やレビューの質が向上したと感じています。
また完了後の振り返りだけでなくプロジェクトの進行もより効率的になりました。
現場からはMy Redmineを利用したことで、
大きな成果としては製品開発の精度が向上しましたね。特にリリース時の最終チェックに役立つという声を聞いています。いまの時代は、製品が多機能になりソフトウェアのボリュームも大きくなる傾向にあります。そのため製品のリリース前の最終チェックには膨大な時間を要し、さらに近年ではIoTなど関連分野も広がりチェックすべき項目は右肩上がりで増え続けています。
そのようななかで、My Redmineは項目ごとの細かいタスク管理を行うことができるため要件の抜け漏れを防げるようになり、リリースチェックが効率化しました。また、「別のプロジェクトでこのような課題があったのでこのように修正しました」というように修正に至るまでの経緯が確認できるようになり、修正担当者とチェック担当者の意思疎通もスムーズになりました。作業工数も明確に残すことができるため、次回以降の計画立案や新人教育に非常に有効に利用できています。
水川様が開発に携わった製品
My Redmine導入により開発のプロセスが大幅に効率化
開発部門ではすでに約250名もの社員がMy Redmineにユーザー登録しており徐々に社内に浸透しつつありますが、それでもまだ全員が活用しているわけではありません。My Redmineの有用性を部内全体に伝えて、まさにいま広めていっているところですね。
弊社は70年以上の蓄積があるためやはりノーリツ流の仕事の進め方があります。そういったノーリツ流の仕事の進め方とITとの融合を目指す中で、My Redmineを要とし、自分たちなりのフレームワークを確立できたら理想的です。