My Redmineとはオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェア「Redmine」をクラウド上でご利用できるサービスです。
株式会社イシダテック様のご利用事例を紹介します。
My Redmine導入により鮮度・解像度が低かったプロジェクトの全体像が明確化
社内、社外含め情報共有のスピードが大幅に向上
左が株式会社イシダテック 事業推進室 中田様、中央が代表取締役 石田様
1948年の創業以来、食品ツールプラントから産業省力化機械まで、食品・医薬品等の製造現場向けにオーダーメイド機械の設計・製造を手掛けてきた株式会社イシダテック様。
DX化にも積極的な同社の業務効率化の過程でMy Redmineが果たした役割と導入後の変化について、同社代表取締役社長の石田尚様、事業推進室の中田英輔様、総務部の小山和希様に話をお伺いしました。
株式会社イシダテック 代表取締役 石田様
弊社がMy Redmineを導入するまでには紆余曲折がありました。本格的に業務効率化に着手したのは2018年のことです。そこから3つの段階を経てMy Redmine導入に至った経緯があります。
最初に行ったのは案件の情報の電子化でした。業務効率化着手前の2018年までは社内にプロジェクト管理ツールは導入されておらず、案件の情報は各担当者のローカル環境や手書きのノートで管理されており、場合によってはどこにも保存されていないことすらありました。
このような状況を改善するため、まずはGoogleスプレッドシートを用いて案件管理の一元化を目指しました。ただ各部門でスプレッドシートを作成したものの情報量が膨大になり、部門間での情報連携がうまくいかず多重更新が必要であり、どのスプレッドシートの情報が最新かわからないといった状態になっていました。
そこで今度はプロジェクト管理ツールの導入も視野に入れるようになりました。プロジェクト管理ツールの知見がなかったため、知名度が高いという理由でサイボウズOfficeを導入しました。これがふたつ目の施策です。
ただ、社内で導入を推進できる体制が構築できていなかったため、スプレッドシートからサイボウズOfficeへの移行段階で混乱が生じてしまい、早々に導入断念となってしまいました。導入の意義を社内で十分に共有できなかったことで現場からも理解が得られず、ツールの内容というより運用面で問題が生じた形です。
ここまでの二度の反省を活かし、3つ目の施策として導入したのが全体工程表です。この施策は一定の効果を発揮しました。
各タスクを個別で管理するのではなく、部門をまたがる形で設計から納品までの工程全体のスケジュールをスプレッドシートで一覧化しました。各部門間で全体のスケジュールが共有されたことで、スムーズに情報連携が取れるようになりましたね。2022年現在でも全体工程表は使用しています。
その一方で新たな課題も見えてきました。全体工程表は納品までの大きな流れが見える反面、タスクの粒度が荒いため「誰がどのようなタスクをどのように進めているのか」という細かい部分までは管理できていませんでした。
この段階で改めてプロジェクト管理ツールの導入検討が始まりました。
【全体工程表のイメージ】進行中の各案件を一覧化し各案件のマイルストーンや状況を一目でわかるようにした表
最初から Redmineのみで考えていたわけではなく、他のプロジェクト管理ツールも比較検討していました。しかしユーザーインターフェースの適合性や、値段、拡張性が要件に合わず選定は難航していました。
そのなかで候補として挙がったのがスイスの企業とのジョイントベンチャー事業でも使用していたRedmineです。ジョイントベンチャー事業で自由度の高さは実感していましたし、ジョイントベンチャー事業とツールを統一することで親和性が生まれ、より業務がスムーズになるという期待もあり具体的に導入を検討していきました。
同時期にあるお客様からの「多拠点で推進しているプロジェクトの全体状況が把握できない」という声を受けたこともあって、外部とも情報共有できるRedmine導入を決めました。
製造業という性質上、サーバーの安定性とデータ管理の安全性は欠かせません。さらにアクセスできる場所の柔軟性や運用コストも踏まえると、オンプレミスではなくクラウドがベターと考えMy Redmineに決めました。
また、外部とのやりとりが多いためユーザー数を容易に拡張できる点も魅力的でした。他のプロジェクト管理ツールでは登録できるユーザー数が少なく、追加のたびに費用が発生してしまいます。いっぽうMy Redmineは追加料金なしで1000ユーザーまで登録できるため料金面でもアドバンテージを感じましたね。
事業推進室 中田様
サイボウズOfficeの導入時に運用面がネックで頓挫したことを教訓に、My Redmine導入時には円滑にプロジェクトが進むように5つの面で工夫を施しました。
前回はリソース不足もあり、ITに明るくない社員が本業務の傍らで導入プロジェクトを担っていたため、適切な進め方がわからず社内の協力も得ることができませんでした。そのためMy Redmineの導入時には、代表の石田をはじめ4人のチームで役割を明確化したうえでプロジェクトを推進。全社会議などでも導入の意義や進捗をこまめに共有し、My Redmineの導入を会社全体で前向きに捉えてもらえるように努めました。
プロジェクト管理ツールの導入に伴い各業務フローも変更する必要があります。それにも関わらず、前回は責任者不在のまま進めてしまったことで、どのように変えるべきか決定できない状態に陥ってしまいました。そこでMy Redmineの導入時は各業務フローの責任者を明確化。導入チームと業務フロー責任者で議論を重ね、業務フローを最適化するための方法を探っていきました。
前回の導入時は「わからないことはネット上に情報が豊富にあるので各々調べてほしい」という導入ありきの強引な進め方をしてしまいました。その反省を活かしMy Redmine導入時にはツールについての説明会を少人数ごとに実施。専門知識がない方でも理解できるよう平易な表現で細かく説明し、社員全員が納得できるまで丁寧にフォローしていきました。
実際にツールを使用していくなかで不明点は必ず出てきますが、ツールを定着させるためには丁寧なサポートが重要です。そのため導入チームで社内向けのヘルプデスクをチャット上に設置。些細なことでも気軽に質問できるように環境から整え、質問に対してはほぼ待ち時間なしでの即返信を心がけていました。
前回の導入時は手打ちでツールへの入力作業を行っていたため、むしろやることが増えてしまっていました。ツール導入に伴い負担が増えてしまっては本末転倒です。そこでMy Redmine導入時は手打ちでの入力作業を最小限に抑えるため、自動化ツールを自社内で開発しました。一度入力した情報はサポート機能によってプロジェクト管理ツール内外で自動連携。同じ情報を何度も記載する必要がなくなり、運用負担が大きく軽減しました。
5つの面で共通しているのは前回の失敗で見えた課題を糧とし、My Redmineの導入時にはしっかりと改善できたということ。これが導入成功の要因だったと思います。
前回導入時からの改善点(イシダテック様提供)
細かいタスクを含めプロジェクト全体の状況の確認が非常にスムーズになりましたね。My Redmine導入前は最新のステータスが把握できておらず、幹部会議で進捗状況を確認するだけでも非常に時間がかかっていました。そのため本来行うべき議論までたどり着かないこともままありましたが、My Redmineの導入により最新のステータスやタスク状況が容易に確認できるようになったことで、情報共有の時間が大幅に短縮できるようになりました。
現場では、タスクごとの担当者や期限が明確になったことで各社員の仕事の状況も把握しやすくなりました。ユーザーごとのガントチャートも表示できるため、手が空いている社員に対して仕事を依頼しやすくなるなど、社内リソースをより効率的に活用できるようになりました。
また、止まっていた案件が動き出す際にもMy Redmineで中断前の状況を容易に把握できるため、時間が空いてしまった案件でもスムーズに再開することができるようになりました。
プロジェクト管理システム導入の背景(イシダテック様提供)
左から中田様、石田様、総務部 小山様
My Redmineはプロジェクト管理ツールとしては社内に定着してきたため、今後はナレッジの蓄積先としても活用していきたいです。例えばRedmineの運用に関して一度受けた質問はMy Redmine上のwikiに解決方法を記録していくことで、操作マニュアルとしての活用が可能になります。
また、タスクごとのステータスや期日の変更など基礎的な操作は各社員が行えるようになりましたが、理想としてはタスクごとに経緯や反省点もMy Redmineに記録してもらいたいと思っています。同様の案件・タスクに取り組む場合、各業務で得たノウハウや反省点は次回への糧になるからです。将来的にはMy Redmineを活用し、業務のPDCAサイクルを回す仕組みを構築していきたいですね。
株式会社イシダテック様には、月例Redmineセミナー「Redmine利用事例紹介」(2022年7月7日開催)でご利用事例を発表いただきました。